蔡英文総統は10日午後、「玉山フォーラム」に出席するために訪台したオーストラリアのスコット・モリソン(Scott Morrison)前首相と総統府で会談した。財団法人台湾亜洲交流基金会が主催する「玉山フォーラム」は例年、双十国慶節(10月10日)直後に開催されるもので、今年は11日(水)と12日(木)に開催されている。モリソン前首相の訪台はこれが初めて。
蔡総統はモリソン前首相の訪台を歓迎した上で、同氏が長期にわたり台湾との関係を重視し、台湾を支持していることに感謝した。同氏が首相を務めていた2020年、オーストラリアは米国との外務・防衛閣僚会合(2プラス2)の共同声明で初めて台湾情勢に言及。オーストラリアはその後、米豪2プラス2をはじめ、各国とのハイレベル会議後に発表する声明で、しばしば台湾海峡の安定の重要性に言及している。蔡総統はこれについても謝意を示した。
蔡総統は続けて、台湾とオーストラリアは経済・貿易分野で高い補完性を持ち、昨年の二国間の貿易額は過去最多を更新したこと、エネルギー、鉱物、農業、バイオテクノロジーなどの分野で緊密に連携していることなどを指摘した。
蔡総統はその上で、台湾とオーストラリアが既存の基礎の上で、これからも各分野で協力を拡大し、双方のためにより多くの商機を切り開いていけたらと期待を寄せた。そして、台湾がオーストラリアを含む近い理念を持つ民主諸国と国防・安全保障などの分野で引き続き協力し、地域の自由と繁栄をともに守っていく決意を示した。
蔡総統は最後に、モリソン前首相がオーストラリア連邦議会において重要な役割を果たし、これからも台湾を支持してくれるよう要請。また、11日から始まる「玉山フォーラム」での演説で、より多くの交流を生み出せるよう期待を寄せた。
これに対してモリソン前首相は、台湾とオーストラリアの関係は非常に重要で、民間交流だけでなく、経済、社会、文化など各方面においてもそうであると述べた。そして、最も重要なこととして、双方のパートナーシップが民主主義と自由への尊重に基づいていることを挙げた。
モリソン前首相はさらに、「オーストラリアとその国民は永遠に台湾の人々にとっての良き友人であり、台湾の人々が平和と自由を追求することを支持する。また、台湾の人々の平和と自由が武力や侵略の脅威を受けることがないよう、台湾とこの地域の強靭性と抑止力が確保されることも支持している」と強調した。
モリソン前首相は最後に、自分は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)の中で首相を務めたが、オーストラリアの感染状況が深刻な中、いつでも台湾を手本としていたと明かし、蔡英文総統が新型コロナウイルスの感染拡大期間に発揮した指導力を評価し、「台湾の新型コロナウイルス対策は素晴らしく、総統と台湾の人々は誇りに思うべきだ」と称えた。